「手で織っています。」 塩沢のとある織元で

皆さん、今着ているTシャツであれ、ワイシャツであれ、まずそれらの洋服で使っている生地は、機械化された、ほとんど人の手が介在しない織機や編機によって生産された生地です。私藤木屋Kは、アパレルメーカーに在職し、そういった洋服の仕事をしてきたので、そこで使われている機械化された最新の織機を見てきました。織機の歴史をごく簡単に遡ると、手で機を織る手機があり、手機では手でおくっていたヨコ糸の入ったシャトル/杼(ひ)を機械でよって飛ばしたシャトル式織機が登場し、そして、今ではそのシャトルすら無くなってヨコ糸を空気で飛ばすエアージェット式織機があります。アパレル製品のほとんどはシャトル式織機、エアージェット式織機という機械化された織機によって高速で安定的に生地が生産されています。

しかし、今回7月に訪れた“塩沢”。こちらは塩沢紬や本塩沢などを織っている有名な着物の産地ですが、訪れてビックリしました。織機が機械で動いているのではなく、手で織っているのです。つまり手機なのです。塩沢の織物が全て手機というのではなく、こちらの織元は昔ながらの製造方法を踏襲しているのです。私これにはビックリしました。機械化された織機と手機とでは、あきらかに生産量が違います。ですが、手機でしかだせない風合いもあります。これが三大紬の産地の一つである塩沢の中で、こちらの機元が特別なポジションを築き上げ、今に至る由縁なのかもしれません。

今回訪れた織元は、偶然なところからお知り合いになり、訪問につながり、実際の織っている現場や、染めている釜も拝見させていただきました。他の産地では、分業体制でなりたっている産地もありますが、こちらは糸から染め、織りに至るまで、一貫して生地を作っています。個人的には「生産」という言葉を使うより、職人の「作る」という言葉の方がしっくりくる感じがします。私もまだ着物の生地に関しては、商品知識が不足しているところがあります。これからもっと勉強して、この塩沢に限らず、着物の魅力をお伝えし、日本の着物を活性化できればと思っています。(藤木屋K)

 

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きもの産地紀行